ストライク
2021年03月04日
国語の授業で書いてきたという
長男の短編小説。
400字原稿用紙1枚という
限りある中ではあるが
彼の世界観が垣間見れるようだ。
主題は「仲間がいなければ何にも出来ない」
ということらしい。
子どもと大人の間の中学二年生
今しか書けないこの文章と感性だなぁと思う。
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【ストライク】
俺の名前はボール。
俺にはバットとグローブの
二人のライバルがいる。
野球は好きだけど二人の事は大嫌いだ。
俺が気持ちよく投げたボールを
打ったり捕ったりしてくる。
俺の心は怒りでいっぱいだ。
いつもの様に野球をしていたある日。
バットにボールが当たった瞬間、
バキッと音がした。
バットは折れた。
ボールは喜んだ。
「ざまあみやがれ!お前は俺に負けたんだ!」
バットがいなくなり二人は
キャッチボールをしていた。
聞こえてくるのは捕球音だけ。
いつものスイングの音や
打撃音はもう聞こえない。
反響した捕球音が消えた時
顔を見合わせ二人は言った。
「あいつがいないとつまらない」
二人は神様にお願いした。
「もう誰が一番だなんてケンカはしません。
三人でまた野球をさせてください。」
その後バットは蘇り、
三人は仲良く野球をする様になった。
ボールは笑顔で言った。
「お前らがいるから野球ができるんだ。
バット、グローブありがとう。」
ボールの心は喜びでいっぱいだ。
彼は彼なりに
自分の中の
ストライク(正解)を
見つけたのかもしれない。