お母さんの挑戦
2019年08月23日
長男の夏休みの宿題のひとつに
お父さんとかお母さんとか
『家族のこと』を作文に書く
というものがあって
選んだのは
お母さん。
ずいぶん前のことだけど
彼にとっても
かなり大きな出来事だったんだなぁ。
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「お母さんの挑戦」
一年三組 伊藤優作
僕の両親は床屋をやっています。
でも以前、お母さんは
床屋ではありませんでした。
お母さんの性格はおっちょこちょいで
忘れん坊です。
出掛けると忘れ物をしたと
すぐに帰ってくるし
僕の名前を呼ぶ時も
弟の名前を呼んだり
抜けている所もある
とても面白いお母さんです。
そんなお母さんが
床屋になるなんて
思っていませんでした。
お母さんが床屋を目指したのは
僕が小学三年生の時で
僕が生まれる前から働いてくれていた
スタッフが子供を生まれるので
辞めてしまいました。
お父さんは二人でやっていた仕事を
一人でしなければならなくなり
朝から晩まで一人で
仕事をしているお父さんを見て
お母さんは
「私も何か手伝ってあげたい」
と思ったそうです。
そしてお母さんは専門学校に入学し
床屋になることを決めました。
そこでは美容師だけど
床屋の免許を取りに来た人や
自分よりずっと若い人がほとんどで
「お母さん」と言われてしまったそうです。
通信教育なので毎月教材が届き
ひまがあるとテレビを見ていたお母さんは
本を読んで勉強するようになりました。
春休みと夏休みにスクーリングといって
学校に通う日が2週間あります。
お父さんは仕事なので
その間はお母さんのしていた家事、
ご飯作りや洗濯物などを
弟二人と僕の三人でしなければいけません。
洗濯物を畳むのは
小学三年生の僕には
難しかったし
お米を研いだりするのも
最初は上手にできませんでした。
その時の僕は
いつもお母さんは
こんなに大変なことを
毎日していてすごい。
僕たちもお母さんの手伝いをして
お母さんを楽にしてあげたい
と思いました。
そして洗濯物もご飯作りも
一人で出来るようになって
だんだん慣れてきた小学五年生の時、
お母さんの国家試験の日がやってきました。
おっちょこちょいのお母さんのことだから
何かやらかさないか僕は心配でした。
それでもお母さんは合格しました。
お母さんは泣いていました。
それを見た僕は
涙が出るほど頑張ったんだなぁ
と思いました。
でも僕はそれまで
涙が出るほど頑張って
何かを成し遂げたことが無かったので
その気持ちはどんな気持ちなんだろう
と思いました。
床屋をやっている
僕のじいちゃんばあちゃん、
お父さん、弟、そして僕
みんなが大喜びしました。
じいちゃんは
「子育てしながら免許を取るなんて
大したもんだ」
と褒めてくれたし、
僕たちも
「お母さんすごい!」
と騒いだけれど、お母さんは
「みんなの協力のおかげで合格出来ました。
これまで支えてくれてありがとう。」
と言っていました。
無事に合格したお母さんは
今ではお父さんと二人で仕事をしていて
今日はお客様がこんなことを言っていたと
仕事が終わってからも二人で仕事のことを
仲良く話しています。
お母さんは三年間、
僕たちの習い事の送り迎えや
毎日の家事に加え、
勉強をしていて
とてもがんばったと思うけれど
みんなには
「支えてくれてありがとう」
と言っていて
感謝の気持ちを忘れないところが
僕はすごいと思って尊敬しました。
そして自分も
そうありたいと思いました。
○○歳だけど家族のために努力して
合格した後も
家族のため働いているお母さんは
とてもすごいと思います。
僕が結婚して子供が生まれた時は
家族を守るために何歳になっても
色んな事に挑戦していきたいです。
大変な事もあると思うけれど
僕なら出来ると思います。
だって、
僕はお母さんの子ですから。