自分で選んだ道だから


2020年03月06日

 

18歳で上京した。

胸の中は夢と希望そして
やっと夢への一歩を踏み出す
ワクワク感、高揚感

しかし、その心中には

大好きな家族や友達と別れたくない
住み慣れた実家から地元の専門学校に通い
これまでの生活の延長として、
もっと楽しく、楽な道を選んでも
よかったのではないか

東京に旅立つ前なのにも関わらず

もうすでに自分の決断を少し後悔し

正しかったのか、
早まったのか、
間違ったのかと

大いに揺れる気持ちが
正直自分の中にあった。

案の定
仕事は厳しく

というより学生気分が抜けきらず
生意気な口はきいてもどこか親が
助けてくれるだろうと言う甘えと

自分本位のわがままさががあって

「この仕事、自分には合わない・・・」

そう思うのには時間がかからず
すぐに仕事が嫌になった。

「辞めたい・・・。」

この言葉が喉の先まで
上がってきていたけれど
すんでのところでかろうじて
飲み込むことができた。

なんで嫌になったり
辞めたいと思ったりしながらも

この仕事を続けることができているのかと
自分でも不思議に思うことがあるのだけれど

心当たりが一つだけある。

それは

「理容師になる」

と自分で言い出したからだ。

親から言われたわけでもなく
誰から頼まれたわけでもなく
自分の意思で

決めて、
口に出し、
東京に飛び出して

やっぱりすぐに嫌になったので帰りたい

とは、悔しくてとてもじゃないが

言えなかったからだ。

【志を得ざれば再び此の地を踏まず】

そんな覚悟で

山形を出て行ったはずだ。

しかし現実は

根性もなければ

堪え性もない。

でも、自分の言い出したことを

絶対に守るという意地さえも

貫き通せなかったら

自分というものがなんなのか

この先一生わからなくなってしまう

とそっちのほうがヤバいんじゃないかと
そう感じたからだ。

あれから27年。

理容師という仕事を通し
自分が技術的に、精神的に、
そして人間的に成長することで

目の前の人が喜んでくれたり

こんな自分でも
誰かの役に立つことができるという

体験を積み重ね

その中で

楽しさや、やりがい、使命、
そして喜びを
少しづつ見つけることができたことは
本当に幸せなことで

先輩後輩そして師匠の
指導の賜物で

自分の力なんてものは
全く関与しないのではないかと
思うことがよくある。

感謝しかない。

愚痴や泣き言を言いたくなる時には

「なりたいって言い出したの自分だしな。

誰かからお願いされたわけじゃないしな。

自分でやりたいっていいだしたことだしな。

文句言うなら、辞めれば?って
言われちゃうよな。」

そう思って

僕は今まで、
理容師として生きてきた。

床屋の子だからと
親から無理に勧められたり
仕方なくやらされたという
モチベーションだったとしたら

きっと長くは続かず
早々に辞めてしまい

今頃は違った人生を
歩んでいたのだと思う。

それがいいのか悪いのか
正しいのか
それはわからないけれど

自分の人生を
自分で選んで
進んできたという

自負と自信と
納得感が自分の中には
絶対的にある。

数ある職業の中から

自分の意思で選んで
今この職業に就いている

この点においては、
一点の曇りも悔いもない。

我が子たちにも
父ちゃんはやりたいことを
自分の意思で選んでやっている

という姿を
言葉を嘘偽りなく
自分の言葉で伝えることができる

父ちゃんが
意地張って良かったなって
思う瞬間だ。

だからこそ、
子供たちには

「やりたいことがあったら

勇気を出して口に出して言ってごらん」

と、自分の口から
語らせてあげたい。

どんなに小さくても、
生意気で反抗期でも
自分が言い出したことだったら

自分との約束は
守ろうとするものなのだと
自分の体験から思うから。

つらくても、悩んでも
嫌になったり辞めたくなる時は
必ず誰にでも
やってくるのだと思うけれど

「誰から言われたわけでも

命令されたわけでもなく

自分自身で選んだ道」

そいうものが人生の
後ろ支えになると
僕は感じ、思っている。

3月6日

今日は僕の口から出た

「理容師になる!」

が実現し始めた

理容師人生スタートの記念日。

全ては
自分で選んで
歩いてきた道ですから。

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