二者択一


2012年09月01日

【二者択一】

2012・8・31

斎藤孝氏の心に響く言葉より…

 

漫画の『逆境ナイン』の中に「二者択一」というシーンがある。

主人公に初めて彼女ができる。

 

甲子園目指して、チームを率いて

ここ一番踏んばらなければいけないときなのだが、

デートもしたい。心が迷っている。

 

仲間から

「プレゼントだ、好きなほうをとって、もう片方は捨ててくれ」

と包みを渡される。

 

開けてみると、中には二枚の表札のような板が入っていた。

 

一枚には「野球」、

もう一枚には「かけがいのない女」

と書いてある。

 

煩悶(はんもん)した末、

主人公は、

 

「二者択一!!」

 

と叫んで「野球」の板を取る。

 

泣きながら「かけがえのない女」の札を捨てる。

 

 

板という「もの」を自分の意思で選び取るという身体的動作によって、

決断にリアルな切実さが伴う。

 

私たちは通常、意思決定をするときに、

心のなかだけで考えている。

 

その実体が手にとって見えているわけではないので、

「選び取った」ものと「捨てた」ものの

本当の重さに気づきにくい。

 

たとえ小さな板切れであっても、

自分が決心して選んで手に取った札だと思うことで、

挫けない力が湧く。

 

ちょっとやそっとでへこたれるわけにはいかない。

 

このときのリアルな「二者択一」を一つの行動原理として、

主人公とその仲間たちは二者択一が人生の格言のようになって、

その後も決断の軸に「札を取る」行為をする。

 

「進む」のか、

「逃げる」のか、

札をつくって、冷静に考えて、

自分の決断で札を選び取っていく。

 

『雑菌主義宣言!』文藝春秋

 

彼女を取るか、野球を取るかという選択そのものが

いいかどうかは別にして、

人生には二者択一で選ばなければいけないシーンは多くある。

 

その中の最も本質的な二者択一は、

「現状維持」か

「現状打破」かの姿勢だ。

 

つきつめていくと、人の行動基準は、この二つに集約される。

 

何事も、現状維持でいいと思っている人は、

全ての言動が、

「今のままでいい」

「現状を変えたくない」

という姿勢から発する。

 

たとえば、変革しようという意見に対して、

なんの代案もないのに、

ただ反論したり、

理屈を言ったり、

怒ったりする人は、現状維持の姿勢の人だ。

 

現状打破の姿勢の人は、

「ちょっとでも現状をよくしたい」

「少しでも進歩したい」

「何かを変えたい」

という具体的な意見と、行動から出発する。

 

「現状維持」「現状打破」か。

 

日頃、自分がどっちの立場で行動しているのか、

確認してみる必要がある。

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